哲数物を学ぶ

本の感想が主,サブカルにも触れる

『思考の整理学』を読んだ

『思考の整理学』著.外山滋比古 1986年

を読んだ.

人が思考するうえでの特徴,傾向,方法などを外山滋比古氏自身の経験や考えから述べたエッセイ集である.学び,考えたことをどのように扱い,自分の智とするか.そのための勉強法や,生活の方針などが書かれている.

私は本書を数年前に読んだので結構内容を忘れていたのだが,いま読み返してみると,今の自分の考えと合うことも多くあって,知らぬ間に自分の思想の中に含まれていたのだなと実感している.

人間の脳は目で見た情報をどんどん吸収していく.しかし,一人の人間がそのすべての情報を有効に扱うことは不可能であり,定期的に脳のリフレッシュ,つまり情報の整理整頓が必要である.整理整頓といえば,それは取捨選択もそれに含まれていて,いらない情報は捨てないといけない.忘却も重要な思考作業の一つであるといえる.

その情報の整理整頓というのは人間が寝ているときに勝手に無意識がやってくれるのだが,その作用のある程度は顕在意識中からコントロールできる.私は,忘れたくないことはとにかく頭の中でグルグル回転させるということをよくやっている.特に本を読んで本を閉じてから自分の頭の中だけで行うことがミソである.

その上で大事なのは,覚えているべき情報とはなにかをしっかり考えないといけない.いらない情報ばかり頭に詰め込むと馬鹿になる.

そこが一番難しいことであるが,大体はその一連の情報をなんとなく眺めているとその根幹が見えてくるものなのでその時が来るまで待てばよい.情報の幹が見えたのならそれを徹底的に頭の中で回転させて,その根を脳に根付かせれば,あとはその枝や葉は勝手に生えてくるから今は忘れてしまえばよい.

また,無意識というのは顕在意識よりも優れた成果を出すことがある.というか人間が作り出した大理論には無意識の作用が必ず含まれているといっていいだろう.一日でも跨いで考えられたのなら睡眠中に考えに何らかの変化が現れるからである.本を閉じてボーっとするのも立派な思考作業である.一晩寝ると分からなかった問題が解決していた,というような話はよく聞く話である.

スマホでゲームやSNSを見たりしているときが脳は本当の意味で休まっていると言える.画面に目が集中していて外的刺激が常にやってくるが,その間は脳の自己作用は全く働いていないからである.疲れるのは目だけである.





思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)