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『理論電磁気学』第8章§6電磁波の回折 を読んだ

『理論電磁気学』著.砂川重信 1999年

の第8章§6 電磁波の回折 を読んだ

波動の回折現象といえば,Huygensの原理である.波面上の各点から発する球面素元波の包絡面が次の新たな波面を作るという直感的にもわかりやすい原理である.しかし,球面素元波を考えると波の進行とは逆の面の包絡面も考えられるのでその後ろ向きの波について詳しく考える必要がある.

ここでは,Huygensの原理を数学的に定式化して,波動の回折現象そのものについて詳しく議論していく.そのためにまず波動関数をKirchhoffの積分表示を用いて表す.

始まりは,3次元のGreenの定理の両辺をある時間で積分した式である.Greenの定理は二つの任意のスカラー関数についての恒等式を与えてくれるが,その一つを空間を伝搬する波動関数,もう一つをDret関数とする.そうすることで,観測する時刻において,まだ発生していない波面の影響を取り除き,目的の位置で観測した波動を扱うことができる.
計算すると,とある位置での波動の値を,その点を含んだ閉曲面上での波動関数の値の積分で表すことができる.これがKirchhoffの積分表示である.

この式を用いてHuygensの原理を定式化していく
原点Oから球面波が発進するとして,それを包む閉曲面Sとその外側の空間領域をVとすれば,任意の点Pでの波動の値をS上の積分で求めることができる.
閉曲面の取り方は任意なので,例えば楕円面をとってみる.楕円といわれて私がすぐに(運動学的に)思い浮かぶのは,片方の焦点から打った球がどの方向に飛んでも楕円面で完全弾性反跳すればもう片方の焦点に向かって飛んでいく,というイメージである.
ここでは原点を一つの焦点としてそこから発進された波動が楕円面を経由してもう片方の焦点にすべてもどっていくというようなイメージをすると,二つの焦点での波動関数は等しいのではないか,といいたくなる.
そんなことを対称性を踏まえて詳しく考えていくと逆行する波動が0であることが明らかになる.つまりHuygensの原理の欠点がこれで解決された.
それが言えれば,次は閉曲面として球面をとって実際に任意の点での波動関数を計算して回折現象の定式化は一段落である.

小孔による回折ではKirchhoffの近似という仮定や波長や孔の大きさが小さいというような近似をすれば上手いこと計算できて強度分布が調べられる.



理論電磁気学

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