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哲数物を学ぶ

本の感想が主,サブカルにも触れる

『春風夏雨』を読んだ

『春風夏雨』 著.岡潔 昭和45年

を読んだ.

本書は私が一度このブログでも紹介した『春宵十話』の著者である岡潔氏によって書かれたエッセイ集である.無明,生命,民主主義,意志,,,など人間のさまざまな一面について岡氏の考えが述べられている.
岡氏は戦後は仏教を学び,自我や物質観に深い洞察を向けていたようである.また,奈良女子大で教師を務めるようになってからは教育の研究も独自に進めていて,それらの経験からとても興味深い考え,教えを示している.現代に生きる自分が見てもとても参考になる内容であった.

大脳前頭葉は意思決定力,本能の抑制をつかさどっており,大脳前頭葉の発達が十分でないと怠惰であったり衝動的であったりするようになる.仏教によると我々が普通の意味で「自分だ」と思っている自己は「小我」とよばれ, 小我には生き物(有情)としての雑味(無明)が多く含まれてる.その雑味によって人々は迷い,間違え,罪を犯す.小我から無明が取り除かれた仏教的に真の自己とされているものを「真我」と呼び,悟りの境地の一つとして目指すべき指針となっている. 大脳前頭葉をよく働かせて自己を律し,できるかぎり小我を抑え込むように努めるべきである.少なくとも怠惰さが抜ければ人として社会でも認められるようになるのではないか.

日本国憲法で「人権」として尊重するように言われているものはどうやら小我であるようだ,簡単に自覚できる自己が小我であるから仕方なのかもしれない. 確かに,人権が尊重されれば小我は守られ,人々は幸福を感じられるだろう.しかし,その一方で日本人が間違いを犯し易くなってしまったようである.小我が優位になりすぎて真我の追及が止まってしまっている.まあ少なくとも小我は守られているのだからあとは個人の努力次第ということか.確かに明快で良い.





春風夏雨 (角川ソフィア文庫)

春風夏雨 (角川ソフィア文庫)

春宵十話 (角川ソフィア文庫)

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